「探偵に頼めば全部解決してくれる」――僕は当時そう思い込んでいました。
浮気調査で真実を知りたくて、焦る気持ちのまま契約したのですが、請求額は予想以上に高く、手に入れた真実以上の代償を払うことになったのです。
しかも、調査中も進捗について全く報告がなく、こちらが質問すると「もう少し調査を延ばせば証拠が掴めますよ」と言われ、さらに追加料金を求められる始末。
あのときは本当に「なんでこんなところに依頼したんだ」と後悔しました。
冷静に過去を振り返ると「当時の自分、浅はかだったな」と言えますが、当事者のときは冷静さを完全に失っていました。
僕と同じように、探偵依頼で痛い目を見た人は少なくありません。
困っている依頼者の弱みを利用する悪徳探偵は実際に存在します。
特に多いのが「料金」に関するトラブル。
相談できず泣き寝入りする人も多いため、表に出ない被害まで含めればかなりの数になるはずです。
ここからは、よくある手口を具体的に見ていきましょう。
依頼内容によって適正な調査員の人数というものがあります。
しかし悪徳な探偵は、適正な人数よりも人員を水増しする事で料金を高く請求する事があるのです。
探偵の調査料金は、調査員の人数に比例して高くなる事を利用した手口になります。
依頼者には3人で調査をした事にしながら、実際は1人しか稼働をしていないといったケースがこれにあたります。
人数を水増しし、調査料金を高く見積もっておきながら、実際の調査は必要な人数に達していないという最悪のケースさえあるのです。
調査料金は時間が長引くほど上乗せされていきます。
悪徳探偵はそこに目をつけ、わざと調査をダラダラ延ばすのです。
「あと少しで証拠が取れる」と依頼者を期待させ、追加調査を正当化するやり方。
実際には何も進展していないのに、時間だけが費やされ、気づけば請求額が何十万にも膨れ上がることもあります。
焦っている依頼者ほど「今やめると損だ」と思い込み、この罠に引っかかりやすいのです。
「結果が出なければ支払い不要」という言葉に安心して依頼する人も多いのですが、この制度にも大きな落とし穴があります。
たとえば証拠写真もなく、ただの推測で「浮気を確認しました」と報告して成功報酬を請求するケース。
逆に、まともに調査をしないまま「浮気はしていませんでした」という結論を出して報酬を請求するケースもあります。
そもそも『成功』の基準を探偵側が都合よく解釈できる仕組みになっているため、依頼者は不利になりやすいのです。
基本料金以外に発生する「経費」も要注意ポイントです。
交通費や宿泊費といった名目で、実際にはかからなかった金額まで上乗せして請求されることがあります。
中には「基本料金ゼロ」「経費のみ」と安さをアピールし、後から法外な経費を請求する悪徳業者もいます。
依頼者にとっては見えづらい部分だからこそ、最も不正が起きやすい項目です。
「キャンセル料」を悪用する業者もいます。
わざと調査を遅らせたり、報告を渋ったりして依頼者を不安にさせ、「もうやめたい」と言わせるのです。
その瞬間、高額なキャンセル料を請求。
通常の探偵事務所でもキャンセル料は存在しますが、悪徳探偵の場合は相場の数倍にもなることがあります。
依頼者を心理的に追い込む、極めて悪質なやり口です。
僕が痛感したのは、「契約前の確認を徹底すること」です。
見積書に人数や時間、経費の内訳がしっかり書かれているかを確認し、不透明な点があれば遠慮せず質問すること。
もし回答が曖昧だった場合には、その探偵は信用しない方がいいでしょう。
また、複数の事務所で相見積もりを取ることも効果的です。
金額の相場感を知っておくだけで、極端に高い請求や不自然な費用に気付きやすくなります。
僕は焦りから「早く依頼しなきゃ」と即決してしまいましたが、それが最大の失敗でした。
冷静さを欠いた判断は、相手にとって格好のカモになるだけです。
もし過去の自分に一言伝えられるなら、「落ち着いて調べてから探偵に依頼するように」と言いたい。
探偵依頼は最後の切り札とも言える大きな決断です。
だからこそ、焦らず、冷静に、そして慎重に。
これが、悪徳探偵から自分を守るための最も確実な方法だと断言できます。